舞妓の御用達
#10


京丸うちわ 小丸屋住井

舞妓、芸妓さんの存在は知っているけどどんな生活を送っているのか、どれだけの職人さんが関わっているのか私たちにとってそれは謎に包まれたままでした。

日本に昔から変わらず残る文化であり海外からも反応の大きい文化であるのに日本人のほとんどがその実態を知らないのではないでしょうか。

そんな“気になる”気持ちから舞妓さんの頭の先から足の先まで徹底解剖する企画がスタート。
この記事を通して、日本に残った文化“美しい謎”を一緒に解明していきましょう。

第10回 京丸うちわ 小丸屋住井 住井啓子さん

第10回目は舞妓さんや芸妓さんが夏に配るうちわを作っている小丸屋住井の住井啓子さんにお話を伺いました。

1624年に創業の小丸屋住井は当時公家であり、時の帝により「伏見深草の真竹を使い団扇作りをせよ」との命を受け1573~1592年に”深草うちわ”が確立されました。

江戸時代に入るとうちわや扇子文化が開花し、この“深草うちわ”が全国的に名を馳せ、参勤交代で伏見に来た人たちに団扇作りを伝授し、その技術を各地で受け継いでいったとされています。その例として現在も四国で有名な丸亀うちわや岐阜県の工芸品である岐阜うちわも元を辿れば小丸屋の先祖がその地に伝えたものとされているそうです。

京都の花街では、夏の挨拶に舞妓さんや芸妓さんがお得意先へ名前入りのうちわを配る風習があるそうで、毎年初夏ごろから料理やさんやご贔屓(ひいき)の店先にこの団扇が並んでいるのをよくみます。この団扇が京都の“京”の字と小丸屋の“丸”の字を文字って名付けられた“京丸うちわ”です。

1. 京丸うちわは張り(紙と竹をのりで張り付ける)
2. 撫ぜ(紙と竹をブラシで撫でて定着させる)
3. 干し(乾かす )
5. かまきり(持ち手の方の余分な紙を切る)
6. うちきり(団扇の上の余分な紙と竹を切り落とす)
7. スジ入れ(紙にしっかりと竹の筋が見えるよう紙を竹に沿ってなぞっていく)
8. 六法積み(うちわを束にしたものを柄の部分を外側に六角形になるように積む )

これらの工程を経て出来上がります。
特に「うちきり」の作業は「かまきり」で落とした輪郭に添わせるように紙と竹を切り落とすというもの。職人さんは一発で輪郭を見定めていき、それはまさに職人技と言えるものです。

そのほかに小丸屋住井の団扇である特徴として、小丸屋住井のマークと住所が入った紙とその上にある赤い紙、また柄の部分にある二つの焼印が入っていることが挙げられます。この焼印は江戸時代から小丸屋住井が製造したうちわに小丸屋の印として入っているものだそう。

最後に住井啓子さんにとって舞妓さんや芸妓さんはどんな存在かお伺いすると、「京都の文化を守ってくれていて、その風物詩に関わらせてもらっています。代々受け継ぐことが文化。この文化を守っている人、職人さんたちを自分たちも守っていかないと行けないと思っている。」とおっしゃっていました。

ご自身も京都の伝統文化を守っている方なのに、他の職人さんたちのことも考えていらっしゃる姿がとても格好よかったです。


舞妓の御用達
#10
小丸屋住井
住井啓子

文:
中喜多真央(空間デザインコース)

小丸屋住井HP:
https://komaruya.kyoto.jp

舞妓の御用達
#10


京丸うちわ 小丸屋住井

舞妓、芸妓さんの存在は知っているけどどんな生活を送っているのか、どれだけの職人さんが関わっているのか私たちにとってそれは謎に包まれたままでした。

日本に昔から変わらず残る文化であり海外からも反応の大きい文化であるのに日本人のほとんどがその実態を知らないのではないでしょうか。

そんな“気になる”気持ちから舞妓さんの頭の先から足の先まで徹底解剖する企画がスタート。
この記事を通して、日本に残った文化“美しい謎”を一緒に解明していきましょう。