外の人から見た京都って、憧れの街だけど
新里:
WLKのSNSの写真は、スナップ写真をメインに投稿していますが、なぜモデルさんではなく一般の方を起用しているのでしょうか。
笠浪:
私たちが思う、メリットとしては、京都の街中で声を掛けWLKのことを知ってくださる方が増えることと、SNSで見た時に、一般の人が履いていると身近に感じられる点だと思います。
酒井:
うん、それですかね。
あと、京都が背景に写る。
スナップ撮影に行っているのは、平安蚤の市と、古本祭りだよね。
笠浪:
そうです。
酒井:
その街の人が集まる京都のローカルなイベント、東寺の蚤の市とか、節分祭り、大文字とか、そのものの力も借りることができます。
WLKの製品を身につけたスナップ写真というだけではなくて、平安蚤の市で撮ったと分かると、「そんなイベントあるんだな」とか「どんなお店があるのかな~」とか、京都のことを知ってもらう機会になりそう。
だからそうした方が良くない?
笠浪:
それいいですね。
実際に古本祭りで声を掛けた方が、ファンになってくださり、お店まで買いに来てくださったことがありました。
酒井:
そういうことも起きる。
スナップ撮影、もう少しローカルイベントを詳しく紹介していった方がいいんじゃない?
新里:
Instagramの文章の下に記載しておくということですか?
酒井:
そうそう。
そうしたら平安蚤の市のInstagramが、WLKをピックアップしてくれたりするかもね。
外の人から見た京都って憧れの街だけど、外の人が知っていることって少ない。
祇園祭は知っているけれど、節分祭りは知らなかったりする。
それをWLKが発信するのは、大切な役目だと思う。
WLKは「踏み込んだ京都」のことを知ってもらうためのブランドでもあるんじゃないですか。
笠浪:
お、京都のブランディングですね。
酒井:
WLKのInstagram見たら色々載っているってなると、行きたいところも増えていく。
1年に1回くらいしか遠方の人は来られないのでその日のためにチェックしておこうと「お気に入り」をためてくれるかも。
笠浪 新里:
やっていきたいですね。
結局は、その人の魅力でしょ?
新里:
ストリートスナップで、蚤の市行った時も、私たち上手く説明できなかったし、声掛けても断られる確率が高いんですよ。
酒井:
え、おしゃれな人が?
笠浪:
ほとんど断られますよ。メンタルボロボロです。
酒井:
どういう理由で断られるの?
新里:
「急いでいるので」とかですね。
笠浪:
興味を持ってくれる人も少ないです。でも逆に古本まつりは、立ち止まってくれる人多かったですよ。蚤の市のおしゃれな人には刺さらなかったです。
酒井:
それって、その人の力だと思うよ。
笠浪:
その人というのは?
酒井:
話しかける人の力!説明の上手さじゃなくて。
例えば自分だったら「この人はマジかどうか」で決めるから。
新里:
本気度みたいなことですか?
酒井:
この人、よく分からないけどマジやなって。
そしたらまぁ話聞くかな。
見た目がかわいい人とかさ、単純な話で。
新里:
説明する人の魅力ということですか?
酒井:
話聞いとかないと損するんじゃないかって思ったら止まる。
それこそキャッチだと思われたらアウトでしょ?
新里:
じゃあキャッチだと思われていたかもしれないです。
酒井:
断られる率が高いっていうのは、説明が下手だからではないんじゃ。
新里:
第一印象みたいなことですよね。
酒井:
簡単に言うとナンパでしょ?
ナンパの経験ないからあんま偉そうなことは言えないけど。
でもそんな断られるのか…。
笠浪:
いけそうやのになぁ。
酒井:
笠浪さんはいけそう。
新里:
え、私は?
酒井:
新里さんは弱腰だから。
笠浪:
え、私は弱腰じゃないんですか。
酒井:
弱腰じゃない。
新里:
そうなんですか…。
でもなんで古本の時はいけたんでしょう?
笠浪:
それこそびびってなかったんじゃない?
新里:
たしかに1回やってるのはあるかもしれない。
笠浪:
スナップ撮影の初回と2回目は蚤の市に行って、3回目に古本まつりに行ったんですよ。
だから…?
酒井:
牛乳配達の仕事あるじゃないですか。
牛乳を無料で試しに飲んでもらうんですけど、高校の時、そのアルバイトしてたんです。
新里:
へぇー!
酒井:
友達の家が牛乳屋で。それも人によって成績に差が出てた。
僕はピンポン押さない、ガラガラーって開けて「こんにちはー!!」って言うスタイル。
笠浪:
本気度が違いますね!
酒井:
そしたら「なんやぁ」って出てくる。
とにかく牛乳を貰ってもらう!でも簡単には貰ってもらえない。
新里:
無料なのに貰ってくれないんですか?
酒井:
後に交渉役が来るのをみんな分かっているから。
笠浪 新里:
あぁ~!
酒井:
でもそこで弱気になっても仕方なく。
いろいろ工夫を試す。
結果「じゃあいいよ、もらっとくわ」を引き出すために、何回も断られたよ。
その時にあんまり丁寧にいってもダメって思った。
新里:
あぁー踏み込んだ方がいいということですね。
酒井:
あれは勉強になったな。
新里:
牛乳屋でバイトしていたんですねぇ。
酒井:
まぁ友達の家だったしね。
雪の日はたいへんだった。金沢めっちゃ雪降るし。
笠浪:
おしゃれじゃないですか。
酒井:
激寒!しかも牛乳がいっぱい入ったやつを運んで。
笠浪:
え、歩いて!?
新里:
まさかの!
酒井:
その日の担当エリアがあって一軒一軒回っていくから。
歩く方が効率いい。
笠浪:
バイクだと思っていました。
酒井:
バイクじゃない。
だから車で担当エリアまで送ってもらって「行ってこい!」ってポーンって降ろされる。
笠浪 新里:
えぇ~(引)
酒井:
嫌じゃなかったけど。
1番嫌だったのはリハーサルの日。
新里:
え、リハーサルですか?
酒井:
「やってみろ!」って。
笠浪:
誰に向けてですか?
新里:
店主さん?
酒井:
牛乳屋の社長。
「1回練習でやってみろ」って言われて。
それがいっちばん嫌だった。だって恥ずかしいから。
新里:
たしかにそうですね。
酒井:
でもそれで上手く話せたら、本番は楽勝。
そういうこと君たちもやった方がいいんじゃない?
笠浪:
先生に向けてですか?
酒井:
僕じゃなくてもいいけど、「もっとこうして言わないとダメ」とかアドバイスはできると思う。
About Whole Love Kyoto
#10
KYOTO T5 センター長
酒井洋輔
文:
笠浪萌愛(ファッションデザインコース)
新里小春(ファッションデザインコース)
ブランドの監修を務める当センター長 酒井洋輔(空間演出デザイン学科 准教授、株式会社CHIMASKI代表)に、ファッションという観点から、ブランドの誕生秘話についてお話を聞きました。