京都のスープ
#17


喫茶 静香

「あそこまだあるかなぁ、あったなぁって言って思い出してもらえる存在でありたい。」
喫茶 静香 宮本久美(ひさみ)さんにお話を伺いました。

思い出の場所

千本今出川を少し西に行くと赤色で縁取られた店構えの喫茶 静香があります。

創業は、1938年。今では千本で最も古い喫茶店です。元々は先斗町の芸妓さんが1937年に開いたお店を久美さんの旦那さんのおじいさまが受け継いだそうです。喫茶 静香の“静香”とは、芸妓さんの名前が由来です。

「今はもう舞妓さん、芸妓さんたちも来なくなっちゃってね、和美さんの頃は来てはったし、私がやるようになってからもちょこちょこ来てはったけどね、」『カズミちゃん』の愛称で親しまれている前代の宮本和美さんがお店にたっておられた頃はよく舞妓さん、芸妓さんがコーヒーを飲みに来られていたそうです。


今も残る、昭和レトロな佇まい

数年前にリニューアルされましたが、手彫りの小鳥とお花のガラス扉や店内のインテリアは創業当時のまま。アンティークな木製の家具と漆喰の白い壁、ベロアのソファー。純喫茶の落ち着いた雰囲気が漂い、昭和レトロな空間です。


色んな世代の常連さん

静香さんにはご年配の方から大学生の常連さんまで幅広い世代の常連さんがいらっしゃいます・また観光客の方や海外のお客さんも多くいらっしゃいます。

「毎日のように来ていただくご近所さんがすっごく多いの。だから何日かお会いできないと心配になるんです。」

「やっぱり常連さんが大事やなぁ。やっぱり美味しいって言っていただけるコーヒーを作ることを常に心がけています。」コーヒーに合うフードメニューもたくさん取り揃えてあります。

こだわりのコーヒーは喫茶 静香のオリジナルブレンドをサイフォンで淹れておられます。

一番人気のフルーツサンド


思い出せる場所になるように

「昭和の良き時代を懐かしんでよく来てくれはるお客さんがすごい多いの。多分主人もそうやし私もそうやしその頃の良かった思い出を来はった時に残しておきたい。あんまり言葉に上手にできないけどね。ここにきたらあの時を思い出せるよみたいな場所がひとつぐらいあっても良いかなぁって。」

最後に、京都にとってどんな存在でありたいですか、と伺うと久美さんは、

「思い出してもらえる存在やな。あそこまだあるかなぁ、あったなぁって言って思い出してもらえる存在でありたい。」

と仰いました。

喫茶 静香さんには色んな人の懐かしい思い出が残る素敵な喫茶店です。
ノスタルジックな雰囲気はお客さんの懐かしき思い出とともに作られているのだと感じました。


京都のスープ
#17
喫茶 静香

文・写真:
鈴木はな佳(ファッションデザインコース)

喫茶 静香 Instagram:
https://www.instagram.com/kissa_shizuka/

京都のスープ
#17


喫茶 静香

「あそこまだあるかなぁ、あったなぁって言って思い出してもらえる存在でありたい。」
喫茶 静香 宮本久美(ひさみ)さんにお話を伺いました。