愛され続ける味噌屋でありたい
西京味噌の「本田味噌本店」
京都御所の近くの「本田味噌本店」。茶色の暖簾が目印です。
本田味噌本店の創業は天保元年。今よりおよそ200年前になります。
京都御所からご用命を賜り、味噌の醸造を始めたそうです。
「明治維新で都が京都から東京(江⼾)に移ったとき、⽔や気候・⾵⼟が変ると味噌の味も変ってしまうので、京都で味噌造りを続けてまいりました。江⼾が東京となり、⼀時期、京都を⻄の京『⻄京』とも呼んだことから、⻄京味噌と⾔われるようになりました。」
「伝統の味を守り、皆さまに楽しんでいただける味噌造りを続けていこうと決めたのだと思います。」
お味噌の魅力について伺ったところ
原料全てがお味噌となっているので捨てるところがないところ、そして健康にもいいところだと仰っていました。
「⻄京⽩味噌の原材料は、⽶・⼤⾖・塩です。味噌は原材料全てが⾷品となりますので、搾りカスなどが出ません。また、日本各地には様々な味噌があり、その地方の⾷文化と密接に関わっているのも魅力です。」
「発酵⾷品である味噌は、植物性たんぱく質を豊富に含んでいます。摂取しやすく、健康に優れた⾷品だと⾔えます。」
他のお味噌屋さんと比べてこだわりはあるか伺ったところ、そのお店ごとに独自のこだわりや造り方があると教えてくださいました。
「味噌の造り方は創業から⼤きく変ってはいません。創業から伝わる本田味噌本店の味を守っています。京都で味噌を造っている会社は7、8社ありますが、各店の味噌を⾷べ比べたら、少しづつ味が異なります。原材料は⽶、⼤⾖、塩と変らないのに、そのお店の特徴ある味に仕上がるのは興味深いですね。」
やっぱり絶対ここの味が一番好き
次に来てくださるお客さんについて教えていただきました。
付き合いの長いお客さんが多くいらっしゃるそうです。
「お母さんが使ってたから私も使うわって言ったくださる方が本当に多いんですよ。」
観光客の方も多いそうですが、ご近所の方が「いつものお味噌」を求めにお越しになる事が多いようです。
いつもはお⺟さんと⼀緒に来られるお⼦さんが、お使いを頼まれてお味噌を買いに来られる事もあるそうです。
最近ではコロナ禍でお店に行けないから通販で購入すると仰ることも増えているそうです。
「お客様から「うちの味は、この味噌。この味が好きだからずっと愛用している。」と伺う事もよくあります。」
新しい味噌のカタチ
続いて、お仕事を続けて見えてきたことを教えていただきました。
働き始めてから、全国には、その⼟地ごとに⾵味豊かな味噌が沢山あること、京都ではお雑煮用として⼀般的な⻄京⽩味噌も和⾷から洋⾷まで様々なお料理に使えることなど、味噌が持つ可能性の⼤きさに気がついたそうです。
「お客様から教えて頂く事もたくさんありますし、日々たくさんの発見があります。」
近年では、本田味噌本店のお味噌をより多くの方に知っていただくため、インスタントのお味噌汁やお菓⼦など新しい商品作りにも力を入れているそうです。
「今までと少し違う味噌を使った洋菓⼦などが有れば、よくお店に足を運んで頂くお客様には、伝統的なお味噌と⼀緒に新しい発見をしていただける。また、あまりお料理をされない方やお⼦様にも⻄京⽩味噌を味わっていただけますし、味噌に興味を持っていただけるかもしれません。そういう気持ちで商品開発も行っています。」
噂のおいしい味噌屋さん
日々⼤切にされていることをお尋ねしたところ、安全で安心して使ってもらえる美味しい味噌をお客様にお届けすること。製造部門は確かな品質の味噌を造り、販売部門はお客様のご希望やお好みをしっかり伺って商品のご提案をすることと仰っていました。
「この味噌を使ってお料理したら家族に好評だったとか、美味しかったとか⾔っていただけるとすごく嬉しいですし、励みになります。」
最後に本田味噌本店さんは京都にとってどんな存在でありたいかお聞きしました。
自分たちの商売は京都の地じゃないと成り立たないと思うと仰っていてこの地のもつ、言葉では言い表せないような魅力を感じました。
「創業から積み重ねた歴史、伝統を⼤切に、これからも親しまれる味噌をお届けしたいです。京都の⾷文化に⽋かせない⻄京⽩味噌をこの先100年も200年も造り続けていきたいですね。」
京都のスープ
#28
本田味噌本店
文:
西岡菫(文化財保存修復・歴史文化コース)
建木紫邑(クロステックデザインコース)
写真:
北結衣(文化財保存修復・歴史文化コース)
本田味噌 HP:
https://www.honda-miso.co.jp
創業約200年の本田味噌本店さんにお話を伺いました。