京都のスープ
#19


欧風堂

「人から人の繋がりで来てくださる貴重なお客さんには本当に感謝しています。お店を続けていくにも大切な存在です。」
欧風堂 2代目 佐々木義晴さん、範子さん、パティシエールの娘さん 瑠美さんにお話を伺いました。

京都を繋ぐ洋菓子店

京都の竹屋町通りの烏丸を少し西に入ったところに欧風堂はあります。1957年に範子さんのお父様が開業されました。今は製造を義晴さんと娘さんの瑠美さん、販売を範子さんとスタッフの方々で営業されています。

欧風堂の名前の由来は、欧州の“欧”と先代が修行されていたお店の一文字“風”をいただいて“欧風堂”となったそうです。

お店は、老朽化に伴い2019年10月にリニューアルされ、雰囲気も大きく変わりました。

「前のレトロな感じはちょっと重みがあったんです。時代によって重みが良いという時代から明るく気楽にカジュアル感じが良い時代になってきて。それでもレトロも残したくて。デザイナーの方とも意気投合しました。気持ちの繋がりで一つの物ができるのは非常に嬉しく、感謝しています。」

と範子さんは笑顔で話してくださいました。

こちらのテーブルと椅子は、以前のお店で使われていた物をそのまま残しているそうです。(イートインスペースではありません)


ほっとする優しい味

欧風堂の不動の人気はワッフルです。欧風堂のワッフルはふわふわの生地にたっぷりのカスタードは炊き過ぎずサクッとした食感で思わず笑みが溢れます。

美味しくてほっとする味。毎日でも食べたくなる優しいお味です。

「ありがたいことにお味で覚えていただいて広まっていったんだと思います。」

と範子さん。ワッフルが有名になったきっかけはメディア的なものよりも、お客様の口コミが大きいです。


味を守っていくだけじゃない

欧風堂さんは“信頼性、お味の安心感、お店の衛生面、笑顔の明るさ、そしてお客さんも笑顔になっていただく“という考えを信念にされています。

佐々木さんご家族と販売スタッフの方々のチームワークの良い明るい雰囲気は取材中も伝わってきました。

「これからも続けていくためにもお味を守っていかないといけないと思っていますね。ワッフルとかバウムクーヘンとか古いものは大事にして、でもそれだけじゃなくてお客様のお声を販売も受けて、製造も受けて、その声に対して新しいものも開発して楽しみを作っていくお店じゃないと続けてられないなという事は常に思っています。」

中学生のころから欧風堂でお手伝いをされていた範子さんにとって京都はどんな場所ですか、と尋ねると

「京都で電車降りたらやっぱり空気がほっこりしますね。で、碁盤の目の道も安心ですね、道が綺麗に並んでいてそこに私は居させてもらって。京都の真ん中に居させてもらってありがたいですね。」

と仰いました。欧風堂さんは、「京都」という場所での“繋がり”をとても大切にされており、はちみつや抹茶などの材料もすべて京都産にこだわっておられます。

ハニーバウムや御所南レモンのはちみつは京都伏見の「ヒグチ養蜂園」さんのはちみつを使用。京都でコラボしてお互い応援し合えるような繋がりがこのリニューアルを機に実現しました。

店主の義晴さん。バウムクーヘンの作り方を丁寧に教えてくださいました。

奥の機械は欧風堂で40年動き続けている機械です。バウムクーヘンの一本焼きは習得に10年ほどかかるそうです。


笑顔をつないでいく

欧風堂は京都で生まれて63年。たくさんの人々に愛されてきたお店です。

「今情報がすごく多いでしょ。だから慎重に大事にしないといけない。メディアで取り上げてくださるのはありがたいです。でもそれだけじゃない、人から人の繋がりで来てくださる貴重なお客さんには、本当に感謝しています。お店を続けていくにも大切な存在です。」

「地元のお客様も大事に、新しいお客様も繋がって笑顔をつなげていけたらなと思います。」

欧風堂さんの優しいお味と明るい笑顔はこれからも京都という場所で人から人へ、繋がり続けていくでしょう。


京都のスープ
#19
欧風堂

文・写真:
鈴木はな佳(ファッションデザインコース)

写真:
江川乃重(ビジュアルコミュニケーションデザインコース)

欧風堂 HP:
https://ofudo-kyoto.jp/

京都のスープ
#19


欧風堂

「人から人の繋がりで来てくださる貴重なお客さんには本当に感謝しています。お店を続けていくにも大切な存在です。」
欧風堂 2代目 佐々木義晴さん、範子さん、パティシエールの娘さん 瑠美さんにお話を伺いました。