つくるひと、つかうひと
#11


錺金具|鈴木修司さん

今日までありつづける工芸品は、そのものの形の美しさや用途だけではなく、守り続けられる技術や思いなど、目には見えない背景も含みながら「つくり手」によって受け継がれています。
そして、「つかい手」として工芸品を生活に取り入れ、使い続けることもまた、伝統をつないでゆくことと言えるかもしれません。
今回お話を伺ったのは、BEAMSの鈴木修司さんです。日々、最先端のカルチャーを生みだす鈴木さんの”工芸品のある暮らし”をお話いただきました。

BEAMS 鈴木修司さん
BEAMS内のレーベル「BEAMS JAPAN」のディレクター。「BEAMS JAPAN」は、40周年目の節目にBEAMSで立ち上げられ、“日本”を切り口にファッションカルチャーやクラフトなどの魅力を発信しています。商品の仕入れから、イベントの企画、レーベル全体のディレクションまで、幅広くご活躍されています。


伝統をアップデート

──「錺金具のマネークリップ」について使用前のイメージやご存じの知識などはどんなものがありましたか?

このマネークリップは、以前から“BEAMS JAPAN”でも仕入れさせていただいて、お店で販売していました。少し前の話ですが、メーカーである“KAZARINO”さんの事務所兼工場を訪ねた時に、試作を見せていただきました。

なので、商品化される前に見ているのですが、伝統的な”錺金具“というものを良い感じに転用というか、アップデートして、誰もが日常で使えるものにしていることに関心を持ちました。個人的にも好きな感じのアイデアなのでいつか使ってみたいなとも思っていました。


良いモノをより良くアレンジ

──今回は、鈴木さんの生活にどのように取り入れたり、使用しましたか?
また、そのように取り入れた経緯なども教えてください。

まずは、通常の使い方のマネークリップとして試してみました。ですが、そもそもマネークリップを使い慣れていなかったので、あまり使用頻度は高くなかったのです。

しかし、とてもいいものですし、“錺金具”の新しい用途としての可能性を感じていたので、あれこれと他の使い方も考えてみました。その時に思いついたのが、持ち歩くものでなくても良いのかなと考えたのです。例えば、リビング、キッチン、書斎などの自宅の中で日々使えるものです。

──なるほど、インテリアのようなイメージですね。

そうです。とくに最近は在宅勤務の機会が増えて、家の中で仕事をすることが増えました。
そうなると、仕事をするのになかなかいい場所が見つからず、いくつか試した上で、結局は一番落ち着ける和室を事務所代わりに使っています。

屋根裏部屋から使っていなかった古い木製の机を引っ張り出してきて、そこで仕事をしているのですが、折角ならとそこで使うものにも拘りたいなと考えたわけです。もともとモノ好きでいろんなものを持っているので、これまでに買い溜めて使っていなかったものを自分なりにアレンジして使っています。その一つにと、これを選びました。

──いいですね、自分好みの空間だと仕事も捗りますもんね。
マネークリップはどんな風にアレンジされたんですか?

まずはリモートミーティング用のイヤホンを片付けておくのに使ってみました。が、巻きつけたり、ほどいたりするのが面倒になったので、すぐに止めました。見た目は雰囲気よくて、好きなのですが…。

次に考えたのが、メモをよくとる人なので、リサイクルペーパーを束ねるクリップとして使ってみました。これがなかなか良い感じに仕上がりました。ちょっとオシャレなメモ周りとなって、とても気に入っています。仕事中もついつい目に入るので、目の保養にもなりますし、なかなかの使い途です。

──どちらもすごくオシャレですね!
実際に使ってみて、もっとよくなると思った点や使う上で注意したところはありますか?

シンプルな造りだけに、デザインなどに改善の余地はなくて、このままで十分良いと思いました。強いて挙げるとするならば、価格帯でしょうか。マネークリップとしても若干お高めの価格設定なので。私のように自宅の備品として使うのであれば、もう少し優しい値段だといいかもです。素材や用途を変更したりして、価格を少しでもおさえられたら良いでしょうか。

──さいごにあなた独自の視点で、この「錺金具のマネークリップ」に星をつけてください。

元々の用途や技術からのアップデート度で、★★★★ですね。元が仏壇などの部品ですが、それを持ち歩ける、日常使いのものに、しかもオシャレに仕上がっているのでとても素敵です。


つくるひと、つかうひと
#11
BEAMS
鈴木修司

文:
則包怜音(油画コース)

BEAMS HP:
https://www.beams.co.jp/

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錺金具|鈴木修司さん

今日までありつづける工芸品は、そのものの形の美しさや用途だけではなく、守り続けられる技術や思いなど、目には見えない背景も含みながら「つくり手」によって受け継がれています。
そして、「つかい手」として工芸品を生活に取り入れ、使い続けることもまた、伝統をつないでゆくことと言えるかもしれません。
今回お話を伺ったのは、BEAMSの鈴木修司さんです。日々、最先端のカルチャーを生みだす鈴木さんの”工芸品のある暮らし”をお話いただきました。