京都のスープ

蓬莱堂茶舗

「京都にとってうちは、歯車の一つでいいんとちゃうかな。正確に動き続ける歯車でありたいですね。」蓬莱堂茶舗 主人 安盛 永博さんにお話をお伺いしました 。

 

京都の寺町京極商店街の中に蓬莱堂茶舗さんはあります。1803 年創業のお店で安盛さんは40 年近くお店に立っておられます。

蓬莱堂茶舗の名前は、 中国の昔話の仙人が住んでた蓬莱山からきています。「蓬莱堂のお茶を飲むと長寿長生きできるように」というのが由来になったそうです。

蓬莱堂さん発祥の玄米茶

玄米茶とは、お茶の葉に炒ったお米をブレンドして香ばしさで飲むお茶のことです。大正時代に御茶事の懐石の際に供される湯桶の芳ばしさにヒントを得て、蓬莱堂さんが創案されました。

湯桶茶懐石では焦げ湯( 釡の底に残った焦げ飯を、さらに弱火できつね色に焦がし, 熱湯をそそいで薄い塩味をつけたもの) を出すときの器

「懷石って言葉聞いたことありますか?若い修行僧が12 月になると街に出てきて声を出してはるの聞いたことありますか?托鉢と言うんですが。修行僧ってだいたい一汁一菜。二十歳前後の若い人が朝と晩だけの食事。で、温めた石を布で巻いて懐に入れとくとちょっと胃が温まって少し空腹が和らぐんですよ。それを懐石という言葉で表す。で、茶懐石となるとちょっと豪華になるんですよ。

懐石で最後にデザートが出てきてそれからお茶が始まる。というのが1 番正式な茶会です。その懐石の時のお湯にヒントを得て、お茶に何か香り付けできないかな、と。紅茶にもフレーバーティーってあるでしょ。アップルティーとかですね。それの日本風のものが玄米茶というわけです。」蓬莱堂さんでは、元祖として玄米茶とは称さず、屋号にちなんで「蓬莱茶」と呼ばれています。

日本だけにとどまらないお茶の文化

「うちはものすごくお客さんの層が広いです。ご近所さんはもちろん日々来ていただくし、場所柄で京阪神、滋賀、奈良の方もね。あと、観光客も多かったです。日本中から見えます。ほんでここ一年はほとんど途絶えてしまったけれど海外の方も多かったです。ものすごくいろんな人が見えます。お茶の先生も。それは日本中と言わず海外からも。結構、海外で抹茶やっている方も多いんですよ。意外かな。日本人じゃない方がやっておられます。」蓬莱堂さんのお店の奥にあるお茶室も見せていただきました。

「お茶会って知らない方からするとすごく堅苦しい感じに思われますけどね、とっても楽しいです。テレビなんかがことさら難しく映しちゃうので困っちゃうんですけどね。決してね、お茶というのは日本人だけのものと違って特にフランスとかヨーロッパとかは、茶道という日本独自の文化をやってくれはりますね。でも、かなり海外にはいい加減な抹茶も出回っているので本物はこうですよっていうのを専門店としては提案していかないといけないと思っています。」と話してくださいました。海外の方とお茶会を開かれることもあるそうです。

実際に安盛さんにお茶を立てていただきました

「うちはお茶の流儀はこだわらないんですよ。お茶の作法っていうのはね、何のためにあるかっていうとあまり意味はないかもしれないですね。時間を計算できるっていうのは、あるけれど。お湯をまず入れる。お茶碗を温めたい。じっとしていたら気まずいからという理由でこのような所作があるのだと思います。」

畠中さんのお水のパフォーマンスはグリル小宝のもう一つの名物です。
やろうと思って意識してやり始めたわけではないそうで、「空気を含ませる方が美味しさが出るっていうので、それがいつのまにかちょっと大袈裟になったっていうか(笑)いつのまにかお客さんから指摘されるまではそういやそうかもみたいな感じやったんです。気がついたらやってた
っていう感じです。」と教えてくださいました。

専門店の存在意義

お仕事をされていて楽しい時は?と尋ねると、

「思っていることが伝わったかな、と思えた時ですね。」と言っておられました。

「お茶は嗜好品なのでね、僕の意見が絶対じゃないし人に人それぞれの楽しみ方があるものだと思います。お茶ってスーパーでもコンビニでもデパートでも売ってますよね。

じゃあなぜ専門店があるっていうのかとお客さんはお茶に関しては素人だから京都の老舗っていうと皆さん敷居を高く感じてしまわれる。変なこと聞いて叱られないだろうか、とか思わはる人もいはるんですけどもそんなんは全然良くて。僕の考えでは知らないからこそ専門店で行かないと何もわからないまま買っちゃうわけですよね。

例えば、うちでお茶を買いに来ていただくときにはいつ飲みますか?っていう話をします。

お菓子で一服なんでしょうかお茶だけで飲まれるの?ご飯のときに?苦いのが好きですか?甘いのが好きですか?

そういうのを伺ってお薦めするのが専門店がある存在意義だと思います。」

最後に京都にとってどんな存在で在りたいですか?とお尋ねしました。

「京都は2 面性があって、古き良きものを守っていく風土はあるけれど反面新しいもん好きやなぁと思います。うちはどっちかというとそのトラッドの方を守っていこうと。その歯車の一つでいいんとちゃうかな。正確に動き続ける歯車でありたいですね。」と安盛さん。お茶の奥深い話をとても優しく、丁寧に教えていただきました。

蓬莱堂茶舗さんは世界中から愛される魅力が詰まったお茶の専門店です。

2021.5.06更新


 

Soup of Kyoto
interview 22
Horaidosaho
Text and Photo
by Suzuki Hanaka
Assistant by Tomizuka Chiri

京都のスープ22
蓬莱堂茶舗
文、写真:ファッションデザインコース
鈴木はな佳
アシスタント:空間デザインコース
富塚千璃