
今回ご紹介する宮川滉清(みやがわこうせい)さんは、現在、京都芸術大学歴史遺産学科 文化財保護修復・歴史文化コースの3年生。KYOTO T5(京都伝統文化イノベーション研究センター略称)では主に「京都100年かるた」や「HANAO SHOES JAPAN」の活動をしてきた。
KYOTO T5 参加のきっかけ
T5に参加されたきっかけは、入学前にある。大学の体験授業に参加した帰りのバスの中でふと耳にした「大学のプロジェクトに参加すると就職に有利だって…」の一言からだそうだ。
けれども実は宮川さんは、すでに高校生の時に自らの将来をさだまさしさんのテレビ番組収録に出演され、関白宣言ならず、後継ぎ宣言していたのだ。
そう宮川さんの祖父は300年以上続く表具店の職人主。小学校の頃から、お店に集まる修理・修復依頼の掛け軸やふすまなどに囲まれ、また傍らでお手伝いをしてきた。そしていつの日かこのお店を継ぎたいという思いを持つようになったそうだ。さらに地元長浜の曳山祭りでは、最大の見どころである子ども歌舞伎に娘役で出演。
まさに長浜のプリンス? プリンセス?だ。

よくやったHANAOシューズJAPAN!!
このようにその環境から気負うことなく、ごく自然と日本の伝統文化の息づく中で成長され、迷うことなく家業の表具師とつながる文化財修復を学ぶコースに入学し、京都伝統文化イノベーション研究センターの研究員となる。
HANAO SHOES JAPANの活動では、全国47都道府県、各地の特産織物を集め、それぞれ鼻緒に仕立てシューズを完成させた。大変な活動だったけれどすべてがショーケースに並ぶと圧巻である、よくやったなぁと思いをかみしめたという。

将来に向かって…
表具店にインタビューに行くなら自分が、と出かけた帰りに偶然、別の表具店のアルバイト募集を見つけ、その場で即応募、そして採用に至り、修行が始まった。将来に向け着実にまた一歩踏み出した。
「大げさかもしれないが自分にとって、T5の活動をするということで人生のコマをすすめられているという感じがしています。将来は、10年くらいして長浜に帰り表具店を継いで風の吹くままに自分の人生をすすめたい…」とはにかみながら20歳の宮川さんは語った。

三条大橋西詰の内藤商店さんに伺ったときのスナップ
研究員紹介
#03
宮川滉清
文:杉浦康子(アートライティングコース)
アートやデザイン、歴史遺産など、それぞれの専門領域を横断するように集まった研究員たち。そもそもどんなきっかけで京都の伝統文化に興味を持ったのか。T5での活動と自身が学ぶ領域の関係をどのように考えているのかなど、このコンテンツでは、T5の研究員たちを月替わりで紹介します。