温新知故
#01


兄弟で継ぐ、ということ。

京都のアートやクリエイティブ活動の最新事情を訪ねてみると、その奥には必ず伝統という財産が豊かに広がっていたりする。
いわゆる「古きを訪ね新しきを知る」という視点からではなく、むしろその逆、新しいものの向こう側にこそ垣間見えてくる京都の先人たちの、技や知恵。

この対談シリーズでは、若い職人さんやアーティスト伝統文化の世界ではない人からの視点も交えた異色の対談集というかたちで京都の伝統文化に新しい光を当ててみたい。

小嶋商店×冨田工藝

左から小嶋諒(弟)、小嶋俊(兄)、冨田珠雲(兄)、冨田睦海(弟)

小嶋商店

創業は1800年ごろで300年以上にわたり京提灯を生み出してきた。
有名な南座の赤い大提灯をはじめ神社仏閣やお祭りの提灯、最近では祇園の「PASS THE BATON」ほか、ファッションビルやレストランなどの照明としても広く使われている。

兄・小嶋俊(しゅん)が竹を割り、「骨」と呼ばれる軸を輪っか状に巻いていく。
その軸の周囲に丁寧に糊で紙を貼っていくのが弟・諒(りょう)。
息のあった兄弟による分業制で作り上げられていく。
こうして天然の竹を割るところから提灯を作っているというのはかなり希少になってしまったのだという。

小嶋商店 HP


冨田工藝

三代にわたって、ここ京都で仏像や位牌を制作してきた。
兄・冨田珠雲(じゅうん)がおもに各宗寺院へ納める御仏像を、弟・冨田睦海がおもに各宗寺院並びに各ご家庭用の御位牌をそれぞれ担当して制作している。

とくに位牌は安価な海外産が流通する中で「京位牌」というブランドにこだわり京都の職人技を受け継ぎながら京都での制作を続けてきた。
五条にある工房ではショールームとしての機能も兼ねており、弟の睦海が位牌づくりで培った技術を活かしたシルバーアクセサリーの販売や体験教室、ワークショップなども開催されている。

冨田工藝 HP



温新知故
#01
小嶋商店×冨田工藝

文:
松島直哉

撮影:
福森クニヒロ

小嶋商店 HP:
http://kojima-shouten.jp/

冨田工藝 HP:
http://www.tomita-k.jp/

温新知故
#01


兄弟で継ぐ、ということ。

京都のアートやクリエイティブ活動の最新事情を訪ねてみると、その奥には必ず伝統という財産が豊かに広がっていたりする。
いわゆる「古きを訪ね新しきを知る」という視点からではなく、むしろその逆、新しいものの向こう側にこそ垣間見えてくる京都の先人たちの、技や知恵。

この対談シリーズでは、若い職人さんやアーティスト伝統文化の世界ではない人からの視点も交えた異色の対談集というかたちで京都の伝統文化に新しい光を当ててみたい。