──子どもの頃の話を教えてください。
小嶋俊(兄):
小学校から家に帰ってくると親父が提灯の軸になる竹を割っていたり、おじいちゃんや職人さんらがその軸に紙を貼っていたり、とにかくみんなが一斉にワーっと作業していましたね。
そういう「作業場」に帰ってくるという感じでした。
小嶋諒(弟):
そうそう。
だから大人たちの作業場が子供らの遊び場。友だちもみんな作業場に遊びに来てました。
小嶋俊(兄):
ぼくの友だちも弟の友だちもみんな遊びに来て、多い時は10人くらいいました。
小嶋諒(弟):
Nintendo64のコントローラーが10個くらいあった。
(一同爆笑)
冨田睦海(弟):
うちらも一緒ですね。うちは家と工房は別やったんですけど、徒歩圏内やったんで、ひとまず学校終わったら先に工房のほうに帰ってました。
冨田珠雲(兄):
夏休みとかに「あそこ掃除したらお小遣いやるぞ」とか言われて、木屑まみれになって掃除したりとかね。
小さいころは母親が買い物の時に留守番させられるんですけど、仕事中の父親と四畳くらいのところに座らされるんです。
とりあえずそれがもう苦痛でしょうがなかったですね(笑)。
小嶋俊(兄):
俺ら手伝いとかはしてないよな?
小嶋諒(弟):
あんまり覚えてへんなあ。どっちかゆうたら邪魔ばっかりしてた記憶しかない(笑)。
ただ工房で大人の邪魔をしながらも、いつの間にか自然と釘を打ったりもしてたなあ。
──兄弟喧嘩とかはされました?
小嶋諒(弟):
しょっちゅうでした。最終的にはぼくが泣かされて終わり、みたいな。
小嶋俊(兄):
体力差があったんでね。どっちかってうと諒は小さいほうで、僕は年上でさらにめちゃくちゃ大きい子やったんで。
冨田睦海(弟):
ふたりって年の差はいくつなの?
小嶋俊(兄):
3つ違いですね。
冨田睦海(弟):
うちは2つ違いなんですよ。
冨田珠雲(兄):
ぼくが思うに「兄」というのはもう生まれた時からずっと兄なわけじゃないですか。
一緒に仕事しても兄は兄。
だからやっぱり喧嘩になるならないっていうのは、弟のほうがどんだけ耐えてくれるかで変わってくると、まあ兄としては勝手に思ってるんです(笑)。
冨田睦海(弟):
僕と兄貴はあんまり喧嘩しなかったんですよ。
冨田珠雲(兄):
うちはもうひとり上に兄がいて、僕は次男、弟は三男。
で、長男と弟はよく喧嘩してたイメージがあります。
やっぱり兄弟でも相性があって、僕は弟とクワガタ取りに行ったり高校時代一緒にバンドをしたりとか、よく一緒に遊んだんです。
お互いの友だちもみんな友だちやったんで。でも長男はちょっと歳が離れてるんで。
冨田睦海(弟):
小嶋さんとこは3つ違いやったら中学と高校では被らないですよね?
小嶋俊(兄):
ええ、ちょうど被らないんですよ。
冨田睦海(弟):
それはデカいですよね。
うちは中学の時も高校の時も、ぼくが1年の時に常に兄が3年でいてくれてたんで、ぼくとしては居心地がいいというか…。
小嶋俊(兄):
ああ、やりやすかったんですよね。
冨田睦海(弟):
そうそう、そうそう。
冨田珠雲(兄):
弟が入学したての時にぼくが一番上の学年ですからね。
冨田睦海(弟):
「あいつの弟や」っていうのでね。
小嶋俊(兄):
諒もそれで何回か助かってるよなあ。
冨田睦海(弟):
それはもう弟の特権ですよね。
小嶋諒(弟):
それはもうすごくよくわかります。何回かありましたから。
(一同爆笑)
小嶋俊(兄):
だいたい弟のほうが要領いいですからね。
冨田睦海(弟):
そうそう。
だからこの話になると弟チームは黙っといたほうがいい(笑)
冨田珠雲(兄):
ぼくはイヤやったんですよ。
あとで弟が入ってくるでしょ?
見た目ほら、こんな感じじゃないですか?ね?兄弟で瓜二つでしょ?
(一同爆笑)
冨田珠雲(兄):
会う人会う人「お前の弟かっこえーやないか」とみんなに言われて比べられる。
小嶋俊(兄):
兄弟の対比はよくされましたね。
中学の先生とかにもなあ。
なんせオレが勉強めちゃめちゃできる子やったから弟がかわいそうで。
小嶋諒(弟):
どこがやねん!
(一同爆笑)
温新知故
#02
小嶋商店×冨田工藝
文:
松島直哉
撮影:
福森クニヒロ
小嶋商店 HP:
http://kojima-shouten.jp/
冨田工藝 HP:
http://www.tomita-k.jp/
いわゆる「古きを訪ね新しきを知る」という視点からではなく、むしろその逆、新しいものの向こう側にこそ垣間見えてくる京都の先人たちの、技や知恵。
この対談シリーズでは、若い職人さんやアーティスト伝統文化の世界ではない人からの視点も交えた異色の対談集というかたちで京都の伝統文化に新しい光を当ててみたい。